生理前の月経カップの練習をおすすめしない理由

2021.05.23
生理前の月経カップの練習をおすすめしない理由

 

月経カップは多くの人にとって、これまで使ったことのない生理用品。

トライするのは大きな変化ですので、誰でも最初はうまく使えるか不安になるのは当たり前です。

月経カップは、コツをつかむまで3ヶ月といわれますが、できるだけ早くコツをつかみ、練習期間を短くしたいですよね。

それでは、できるだけ短い期間で、月経カップを快適に使えるようになるには、どうしたらいいのでしょうか。

この記事では、月経カップ歴3年の筆者が、これからまさに月経カップデビューする方に、「一見遠回りに見えるけれど、実は近道」になる練習方法をお教えしたいと思います。

生理前の月経カップの練習はおすすめしません

どんなことでも、上達するには「練習」が必要です。

スポーツでも楽器でも、私たちは子どものころから、「本番に向けて練習をすることが大事。そうすれば、ベストな状態で当日に臨むことができる」などと言われてきたのではないでしょうか。

月経カップも同じく、慣れやコツが必要なものなら、買ったらすぐに練習をスタートさせたほうがいい、と考えても不思議はありません。

だからこそ、生理前に練習して慣れておいてから、生理当日を迎えたくなる気持ちはすごくよくわかります。

しかし、私たちは、生理前の月経カップの練習はおすすめしていません。

「えっ!なぜいけないの?」と思った方のために、おすすめしない理由をご説明します。

 

理由1:経血があってこそ、月経カップは腟内で滑らかに動く

経血は腟という道を通って、体外に出てきます。

私たちがよく目にする、ナプキンやタンポンに吸収された経血は、「子宮から腟を通り、出てきたあと」の経血です。

腟は体の内にありますから、「今まさに腟を降りてくる経血」の姿は、私たちは当然見たことがありませんし、普段はほとんど意識もしませんよね。

しかし、月経カップの挿入と取り出しに関しては、その「今まさに、腟の中にある経血」が大事な働きをするのです。

経血がいわば、自然の潤滑剤の役割となり、カップはスムーズに奥に入っていき、そして、出すときにスルリと抜くことができます。

経血があるおかげで、カップと腟壁の間の摩擦を少なくしてくれるのです。

 

理由2:経血がないと、痛みを感じることもある

では、腟内に経血がないときに、月経カップを入れようとするとどうなるでしょうか。

生理でなくても、おりものなどよって腟内はおおむねしっとりとしているかと思いますが、経血ほどの潤滑作用はないでしょう。

その結果、挿入や取り出しがスムーズにいかず、途中でひっかかって痛みを感じることがあります。

うまくいかないとだんだんと焦りも出てきて、無理に動かそうとすることで、腟粘膜に刺激を与えることにもなりかねません。

コンタクトユーザーの方は、冷暖房で乾燥した部屋に長時間いたときなどを思い出してみてください。

ドライアイになると、コンタクトの装着中に目がゴロゴロしたり、外すときに痛みを感じたりすることがありますよね。

生理期間でないときに月経カップを装着する感覚も、ドライアイのときのコンタクトに近いものがあります。

潤いが足りないために、あまりよい経験にならないことが想像できるかと思います。

 

理由3:一番技術がないときに、一番むずかしい状況に挑むことになる

月経カップは、使えば使うほどコツをつかみ、上手になるものです。

つまり、月経カップの練習をスタートするときというのは、一番経験がなく、挿入や取り出しに不慣れなとき。

指の動かし方もぎこちないですし、体も腟も緊張して力んでしまっている可能性が高いです。

例えるならば、「ピンチヒッターとしてバッターボックスに立たされてしまった、野球部の新入部員」のようなもの。

まだ野球のルールもよく知らないような新人を、そのような局面に起用しませんよね。

月経カップもそう。初めてなのですから、慣れていなくて当たり前なのです。

それなのに、腟に経血がない状況での挿入や取り出しに挑むというのは、わざわざ難しい状況に自分を追い込むことになりかねません。

 

月経カップは経血があるからこそ使いやすい

月経カップには経血が必要

みなさんにぜひ覚えておいてほしいのは、「月経カップは、経血があるからこそスムーズに使えるアイテム」ということ。

生理中は、腹痛や頭痛、腰痛、眠気、食欲、イライラ…など、多くの女性が不調になりやすいです。

だからこそ、生理のときは避けて、ベストなコンディションのときに月経カップを試しておき、少しでも慣れておきたいと思うのですよね。

しかし、月経カップに関しては、「生理であること」が、うまく使うための条件のひとつになるのです。

言い換えれば、経血こそが、月経カップを挿入するとき、そして取り出すときのサポート役になってくれるということです。

漏れたりショーツを汚したりして、私たちを困らせてきた経血が、月経カップの挿入や取り出しに関しては力強い味方になってくれるなんて、なんだか信じがたいような、不思議な感覚ですよね。

生理前の練習は無理に行ってもメリットが少ない

インテグロ編集部では、読者の皆様に月経カップの情報をお伝えする目的で、安全に留意したうえで、生理前に月経カップを試しに使ってみたことがあります。

私たちの経験をお伝えしますと、経血のないときの月経カップの挿入と取り出しは、生理中に使うよりも痛みを感じやすく、時間もかかったということです。

また、カップの挿入後、ベストポジションに収めるためにカップを上下させる、カップの底を押して動かすなどの調整をするのですが、こうした微妙な動きも、経血の滑りがないため、生理のときのようにスムーズにはいきませんでした。

生理当日の負担を少なくするために、練習として月経カップを使ってみたのに、かえって月経カップにネガティブな印象を持ったり、実際に生理中に使うことが怖くなってしまったりするのは、本末転倒です。

こうしたことから、月経カップの生理前の練習は、無理に行うメリットが少ないと私たちは考えています。

 

生理前に行う、最適な練習方法とは?

事前の練習はおすすめでないと言われたら、ますます心配になり、「月経カップに挑戦する自信がない」と思ってしまうかもしれません。

ただでさえ、生理のときは不安なのに、練習もなくいきなり生理当日を迎えるのはハードルが高いですよね。

でも、心配無用です!私たちは、すべての練習がNGと言っているのではありません。

生理前に行う最適な練習方法はしっかりあります。

それが、「自分の手を使った練習(イメトレ)」です。

月経カップ使い方の練習

腟への挿入をしない代わりに、利き手とは逆の手を軽くにぎって輪の形を作り、それを腟に見立てて、折りたたんだカップを挿入、そして取り出しをする練習法です。

私たちは、この方法は腟に挿入する練習よりも有効で、月経カップを使いこなすための近道だと考えています。

詳しくは、こちらの記事に写真つきでステップを解説していますので、読んでみてください。

はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと③:腟の外で行うイメージトレーニング

 

同じ内容の動画バージョンもありますので、合わせてチェックしてみてくださいね。

【月経カップを使う前のステップ3】腟の外でイメージトレーニングをしよう

 

自分の手を使ったイメトレをおすすめする理由

理由1:手で感じて、目で見て確かめることができる

この練習では、月経カップを挿入したあと、腟内で開くときの「パッ」という感覚を手のひらで体験できます。

指でどういう動作をすれば開きやすいのかを、何度もくり返し確かめることができます。

しかも、腟は自分の目では見えない場所にあるのに対し、手ならば、手首の角度を変えることで、いろいろな角度から見て確かめることができます。

この練習をしていると、自然に月経カップの形や構造、弾力に親しむことになります。

月経カップを身近に感じられる、初心者にやさしいイメージトレーニングです。

 

合わせて読みたい記事:

はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと①:月経カップの特徴や構造を理解する

 

理由2:挿入と取り出しの技術のメインは「指づかい」

月経カップの挿入と取り出し

月経カップの挿入と取り出しは、指先と腟の共同作業のようなもの。

指先と腟がうまく協力しあうと、スムーズに挿入と取り出しができます。

そして、この共同作業のリーダーは、指です。常に指がリードし、腟はそれに応じるのです。

指先が、カップを折りたたむ、押す、開かせる、回転させる、といった細かい作業を次々に行うのに対し、腟のほうで積極的に担う仕事は、受け入れること。

「腟のメインの仕事はリラックスすること」と言っても過言ではありません!

つまり、月経カップの挿入や取り出しに必要なのは、指の技術です。

ですから、どういう指の動きをするかさえ理解していれば、腟に月経カップを入れたことがないまま生理当日を迎えても、まったく問題ないのです。

 

合わせて読みたい記事:

月経カップ初心者が今すぐ知っておきたい、月経カップの「ツボ」とは?

 

理由3:「これならできるかも!」というプラスの気持ちが生まれやすい

生理期間外の腟の練習が負担の多いものになる可能性が高いことは、前述のとおりです。

実際に、「生理の初日にトイレやお風呂で長時間練習し、変な姿勢で格闘したので、ぐったりしてしまった」というユーザーの声を聞きます。

あらかじめ不快になりそうな経験を、トイレやお風呂にこもって無理に行うことはありません。

それよりも、時間や気持ちに余裕のあるときにこのイメトレを行うことをおすすめしたいです。

買ったばかりの月経カップにたくさん触れて観察し、「こうなっているのか」と構造を理解したり、いくつかの折り方を試してみてください。

「これは折りやすいけど、こっちの方が開きやすそう」「ここでカップを少し回転させてみようかな?」と研究し、クリエイティブな気持ちが芽生えてくれば最高です。

その気持ちを大切に育ててください。

「これならできるかも!」というプラスの気持ちは、生理当日のカップデビューを前向きに迎えるパワーになると私たちは考えています。

 

使い始めたばかりで、自信が持てない時期の対処法

話を最初に戻しましょう。

月経カップの挿入には、経血が重要な役割を果たしていることを説明しました。

「だったら、経血の少ない日、生理の始まりかけと終わりかけなどは、月経カップを挿入しづらいのでは?」と思った方、ご明察です!

慣れてしまえば、多少経血が少なくても違和感なく挿入できる方が多いのですが、まだ使い慣れない時期は特に、生理の初日や終わりかけは挿入しづらいと感じやすいかもしれません。

そのときはぜひ、挿入する前に水でカップを濡らしてみてください。挿入しやすくなりますよ。

また、月経カップビギナーの方に私たちがおすすめしているのは、吸収型サニタリーショーツ「エヴァウェア」を活用することです。

エヴァウェアは、タンポン約2本分の経血を吸収するショーツで、経血の少ない日であれば、月経カップを使わずとも1枚で履くことも可能です。

多い日なら、月経カップのバックアップとして履いておけば、万一カップから経血あふれ出てしまったとしても安心です。

少ない日も多い日も、そして月経カップビギナーから上級者まで、幅広く活躍してくれるアイテムです。

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「まだ使い慣れていないから挿入する自信がないな」とか、「今日は経血が少ないから、月経カップがスムーズに入らなさそうだな」と感じるのであれば、カップを挿入する代わりにエヴァウェアを履いて1枚で済ませる、という選択肢もあります。

月経カップの使い方に慣れるまでは、無理してカップを使用しようとせず、このようなアイテムを活用して快適に過ごしましょう。

 

「それでもやっぱり、事前に練習しておきたい」という方へ

お伝えしてきたとおり、私たちは、生理前に月経カップの練習をすることはおすすめしていません。

しかし、なかには、生理前の練習をOKとしているメーカーもあります。

また、実際に、カップを水で濡らしたり、月経カップに適した潤滑剤を利用したりするなどの対策をとって練習したユーザーや、「届いて試しに使ってみたけど、特に問題なく使えて、良いシミュレーションになった」というユーザーもいるので、禁止したいわけではありません。

ただ、「生理前の挿入、取り出し練習は、月経カップデビューをあまり楽しくない経験にしてしまう可能性がある」ということをお伝えしておきたいだけです。

月経カップを手にした方は、思い切って月経カップを購入したはず。

人によっては、レビューを読んだり動画を見たり、たくさんのリサーチをしたかもしれません。

私たちは、これから始まる月経カップとのお付き合いを、できるかぎりポジティブな経験でスタートしてほしい、そして、快適に使いこなせるようになった日、「月経カップを買ってよかった!」という思いにつなげてほしいと願っています。

ベストではない状況で練習してしまい、「ああ、私には使えなかった」「チャレンジしなければよかった」「高い勉強代だった」などという後悔で、月経カップをあきらめてしまうのはもったいないです。

あなたの技術が足りなかったわけではないし、選んだ月経カップが悪かったわけでもない。

うまくいかなかった理由が、ただ、経血がなくて滑りが足りなかっただけ…という結末になってしまうのは、あまりにも残念です。

せっかく月経カップデビューするのですから、楽しく、明るい気持ちでデビューしてほしいなと思います。

 

さいごに

私たちが自信を持っておすすめする、自分の手を腟に見立てて行うイメトレは、何の準備も道具もいりません。

いつでも、どこでもできます。

家の中のお気に入りの場所に行き、最初は10分だけでもいいですから、月経カップと向きあう時間をつくってみてください。

最初は「大きいなあ、自分にも扱えるかなあ」と思っていても、いつの間にか、「かわいい色/形だな」と愛着がわき、指になじんでいくはずです。

そして、「月経カップ、使ってみたい!」と思ったタイミングで、ワクワクして生理当日を迎えられることを、私たちは応援しています!

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インテグロ編集部

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