はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと③:腟の外で行うイメージトレーニング

2020.01.20
はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと③:腟の外で行うイメージトレーニング

月経カップの唯一のデメリット強いてあげるとすると、それは、ショーツに貼り付けるだけでのナプキンと違って、使いこなすまでに何度か練習が必要ということです。

筆者は20年以上水泳をやってきましたが、泳ぎのフォームを修正するときや、新しい練習法を取り入れるときに、いつもコーチに言われていた言葉があります。

「陸でできないことは、水中で絶対できない」

例えば、クロールの腕のかきを修正しようとしたときに、まずは良いフォームをイメージしながら、陸上で理想の動きをしてみます。

陸で理想的な動きができるようになってから、はじめて水中で同じことをやってみます。

一見、遠回りに感じるこの方法が、結果的に正しいフォームを早く身につけるための近道でした。

筆者は、月経カップも同じだと感じています。

「腟の外でできないことは、腟の中でも絶対にできない」

そうなんです。

カップを腟に入れる前に、腟の外でできるイメージトレーニングが必要なのです!

今回は、「はじめて月経カップを使う前にやっておきたい3つのこと」のうち、3番目は、おそらく世界初!?となる「腟の外で行うイメージトレーニング」をご紹介します。

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はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと①:月経カップの特徴や構造を理解する

はじめて月経カップを使う前にやっておきたいこと②:自分の体のしくみを理解する

イメージトレーニングをおすすめする3つの理由

筆者がカップビギナーの方にイメージトレーニングをおすすめする理由は以下の3つです。

  1. 腟の中でカップがどのような動きをしているのか想像できるようになるので、コツをつかみやすい。
  2. 挿入や取り出しに対する不安が減り、ワクワクした前向きな気持ちで使うことができる。
  3. カップの特性を理解すると、上手くいかないときも焦らずに対処できる。

もっともおすすめしない方法は、不安や恐怖を抱えながらカップを使いはじめることです。

そのような状態では不安や緊張から体に力が入り、カップはどんどん挿入しづらく、取り出しにくくなってしまいます。

うまくいかなないときにパニックにならないためにも、事前のイメージトレーニングは入念にやっておきましょう。

カップを折りたたんでキープする練習

まずカップを手にとったら、つぶしたり、半分に折ってみたり、裏返してみたり…と、とにかくたくさんカップを触ってください。

そうすると、カップの上部と下部で弾力が異なることや、リム(縁)の分厚さ、折りたたんだあとに元の形に戻る反発力の強さなど、カップの特徴を指の感覚で理解することができます。

次に、カップを正しく折りたたむ練習をしましょう。

筆者の経験から、おすすめの折り方は「Cフォールド」「セブンフォールド」「パンチダウンフォールド」の3つです。

挿入や取り出しを安定させるには、指の力が少し必要になるので、カップを折りたたんだあとは、2本(または3本)の指で形をキープする練習もしてみてください。

月経カップの使い方 月経カップの折りたたみ方:Cフォールド
月経カップの使い方 月経カップの折りたたみ方:セブンフォールド
月経カップの使い方 月経カップの折りたたみ方:パンチダウンフォールド

カップは、折りたたんで細くなった先端から挿入していきます。

先端から挿入するためには、保持している指をカップの下のほうへ移動させる必要があります。

「折りたたむ→指をカップの下部に移動→そのままキープ」の動きをスムーズにできるようになったら、OKです!

折りたたみやすいフォールドや、挿入しやすいフォールドは、カップの大きさやブランド、個々の感覚、使い方の上達具合などによって変わってくるので、最初のうちに3つともよく練習しておくことをおすすめします。

関連記事:月経カップを使用しはじめたころ直面する問題点とその解決法をご紹介!入れ方編

利き手と反対の手を使った月経カップのイメージトレーニング

腟の外での月経カップのイメージトレーニングは、一体どのようにやるのでしょうか?

それは、自分の手を腟に見立てた、誰にでもできる簡単な方法です。

腟の外でスムーズにできないことを、目で見えない腟の中で行うのは難しいということは想像できますよね。

ひとつずつ段階を踏みながら、カップを使うときのイメージをふくらましていきましょう。


(1)カップを挿入するイメージトレーニング

筆者は右利きなので、左手を腟に見立てて挿入の練習を行います。

【準備】

① 左手(利き手ではない手)で筒状の輪を作ります。輪の大きさはカップの直径と同じか、少しせまいくらい。5本の指はすべて力を抜いてリラックスしましょう。

② 親指とひと差し指側が下になるように、腕を少しひねります。

月経カップの入れ方

【挿入】

① カップを好きなフォールドに折りたたみ、形をキープしたまま指先で保持しましょう。

② 左手の輪を準備し、カップの先端から斜めの角度で、挿入していきます。カップを保持している指先を少しスライドさせて、カップを回転させながら挿入するとスムーズに入っていきます。このとき、輪を作っている左手の力はゆるめないようにしてくださいね。

月経カップの挿入方法

③ カップ本体の3分の2(指の第二関節)くらいまで入ったら、指を離しカップを開かせます。そのとき、挿入された左手の輪の親指側から見ると、ちょうど腟の方からカップを見ていることになります。筆者はこれを「腟ビュー」と呼んでいます。

月経カップの正しい装着方法 図3:月経カップの「腟ビュー」

 

④ 腟ビューからカップを見たときに、カップが完全に開くと、カップ底部がまん丸になります。図4のように底の部分がゆがんで見えた場合は、腟の中でカップがきちんと開いていない状態になっています。この状態では、すきまから経血が漏れやすくなってしまいます。指でゆがんでいる部分を触ってこの感触を覚えておいてください。

月経カップが完全に開かない 図4:月経カップが完全に開いてない

カップの底部にゆがみを感じている場合には、以下のいずれかの方法で、カップを完全に開かせましょう。

・カップの底部をつまみ、カップを半回転させる

・カップの底部をポコポコと数カ所押してみる

・カップの底部をつまんで、小刻みに押したり引いたりしてみる

⑤ 左手の輪の中で、カップがパコッと開いた感覚があり、腟ビューからカップの底が丸くなったことを確認できたら挿入は完了です。

まれに、挿入して指を離したら何もしなくてもパコッとカップが開くことがありますが、それでもほとんどの場合に、挿入後の調整が必要になります。左手の輪を少しきつめにセットし、わざとゆがみを作った状態にして、そこから完全に開かせる練習もしておきましょう。

(2)カップを取り出すイメージトレーニング

次は同じように、左手を腟に見立てて、取り出しの練習をしていきます。

私たちは、腟の中に入っているカップをどうがんばっても見ることはできませんよね。

実際にカップを使うときは腟の中を頭の中でイメージしながら、挿入や取り出しをしなければいけません。

取り出しでは、子宮側からカップを見る「子宮ビュー」がポイントになります。

子宮ビューとは、腟ビューとは反対側の左手の小指側からカップを見たときのビューのことです。

手をかなりひねらないと見えないなので、鏡を使って確認することをおすすめします。

月経カップの使い方 図5:月経カップの「子宮ビュー」

 

【取り出し】

① カップが完全に開いて装着されている状態の子宮ビューを見て、カップのリムはきれいな丸になっていることを確認してください。

② カップを取り出すために、ステムをそっと引っ張って、カップ本体の下のほうの3分の1くらいが外に出てきたら、親指をぐっと押し込みます。

③ 押し込んだ親指の両脇を支えるように、ひと差し指と中指でカップを保持します。このとき、図6のようにカップのリムの形が「U」の字になるくらいまで押して、カップを手のひら(腟壁)から離し、密着を解除するのがポイントです。

月経カップの取り出し方 図6:月経カップの底部を親指でつぶして腟壁との密着を解除する「子宮ビュー」

腟側から見るとこんな感じです。手のひら(腟壁)との密着が解除されたことがわかります。

月経カップの取り出し方 図7:月経カップを腟壁との密着を解除して取り出す「腟ビュー」

 

④「U」の形をキープしながら、斜め下の方向に取り出します。途中で「U」の形が崩れると、親指とひと差し指の輪のあたり(腟口)でリムが引っかかりやすくなります。これが取り出しの際の膣口の痛みや違和感の原因になるので、気を抜かずにカップが完全に外に出てくるまで指でしっかりと「U」をキープしましょう。

月経カップの痛くない取り出し方 図8:月経カップは完全に外に出てくるまでしっかりと指で「U」型を保持する

さいごに

カップが挿入しづらかったり、取り出せなくなったりする理由の多くが、不安やパニックによるものです。

私たちは腟の中の世界を見ることができないからこそ、事前に折りたたむ練習をしたり、左手や鏡を使って、腟の中でのカップの動きをイメージすることがとても大切になります。

腟の外でできないことは、腟の中でもできません。

ぜひ自信がつくまで何度も練習してみてください。

また、すでにカップを使っている方で挿入や取り出しがうまくいかないと感じている方も、ぜひ一度イメージトレーニングを行なって、より快適な月経カップライフを過ごしていただければと思います。

今回、三回に渡り、「はじめて月経カップを使う前にやっておきたい3つのこと」をご紹介しました。

ぜひこれからカップに挑戦する方も、すでに使い始めている方も、あなたの月経カップが付き合えば付き合うほど愛着がわいてくる相棒になることを願っています。

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木下綾乃

インテグロ株式会社 生理ケア&月経カップアドバイザー

1990年東京生まれ。筑波大学体育専門学群 卒業、中高保健体育教員免許取得。筑波大学人間総合科学研究科体育学専攻 博士前期課程 修了。

小さいときから身体を動かすことが好き。3歳から水泳を始め、約18年間競泳選手として活躍。大学院在学中は、スポーツを通じた国際協力としてNGOにてカンボジアの小学校の体育科教育の普及に携わる。また、日本では小学生から大人までの幅広い年齢層に水泳の指導を行う。

2017年月経カップと出会い、生理中の過ごし方や生理に対する捉え方が大きく変わり、月経カップを通じて女性がより快適で自由に過ごせるように、社会や家庭でアクティブに活躍する女性たちをサポートしたいと思うようになる。世界中の数十種類もの月経カップを試してきた経験から、月経カップの選び方や使い方、経血量やライフスタイルに合わせた生理ケアについて、アドバイスを行ったり、ワークショップを開催したりしている。

女性の体や性教育、妊娠・出産・子育てについての正確な知識を届けることを目的に、一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会(代表理事:丸の内の森レディースクリニック 院長 宋美玄先生)主催「これだけは知っておきたい」講座全10回を2020年3月に修了。