【レポート】東京YMCAにて「女性アスリートと生理」の講義を実施しました

2020年6月30日、当社の元アスリートの生理ケアアドバイザー 木下綾乃が、東京YMCA社会体育・保育専門学校の学生120名に向けて、「女性アスリートと生理」の講義を行いました。

東京YMCAは、日本で最初のスポーツ養成校であり、アスレティックトレーナー、フィットネストレーナー、スポーツインストラクターなど、社会体育の専門家を目指す社会体育専門課程と、保育士や幼稚園教諭を目指す保育専門課程に分かれています。

社会体育専門課程では在学中からスポーツ現場で実習をおこない、卒業後は全体の8〜9割の学生がスポーツ業界に就職します。

今回、東京YMCA 教務主任の先生より、「将来スポーツの現場で働く学生たちに向けて、教科書に載っていない、スポーツにおける生理の問題点や解決策について伝えてほしい。」という依頼を受け、1年生の必修科目「社会体育概論」の授業の1コマを担当しました。

男女ともに生理について正しい知識を身につけることによって、将来パートナーや家族とよりよい関係を築くこと、そして、選手や生徒、会員さんのスポーツのパフォーマンス向上につながる新しい生理ケアの方法を理解することを目的に、「女性アスリートと生理」に特化した内容で約80分お話させていただきました。

なお、コロナウイルス感染拡大の影響により、講義を事前に録画した動画を学生が視聴するというオンデマンド形式で実施しました。

 

事前アンケートの実施

講義の内容を構成するにあたり、学生たちが生理についてどの程度理解しているのかを把握するために、女性向け・男性向けの2つのアンケートを作成し、先生のご協力のもと事前調査を実施しました。

まずは、男子学生の回答結果を一部紹介します。

上記の結果から、生理周期や生理の日数についての質問では、ほとんどの男子学生が「生理周期は1ヶ月に1回」「1回の生理は1週間くらい」であることは理解していることが分かりました。

しかし、もう少し踏み込んで、「生理期間中に出る経血の量」や「使用するナプキンの枚数」について質問すると、上記のとおり、回答がバラつき、正解率が低い結果となり、経血量やナプキンの性能(吸収量)についての知識はないことがわかりました。

「1回の生理がおおさじ1程度で済むなら、生理用品はいらないよ!」「ナプキンの使用枚数が10〜20枚だけなら、何回もトイレに行かなくてすむのに!」という女性たちの声が聞こえてきそうです。

その他、生理について正しいものを選択する項目では、「寝ている時は経血がでない」「おしっこと同じようにコントロールできる」と認識している学生も一部いたことから、生理についてほとんど知らないことが明らかになりました。

 

次に、女子学生の理解度についてです。

生理について正しいものを答えてもらう項目では、初潮と閉経の年齢については90%以上の学生が正しい回答をしていましたが、一方で、約40%の学生が「生理があれば何歳でも妊娠できる」と間違った回答をしていました。

「生理について知っていること」について自由に記述してもらう項目でも、「わからない」「妊娠するときに必要」という回答も少なくなく、男子にかぎらず、毎月生理と付き合っている女子でさえも生理について理解していない、間違った認識をしていることが多い印象を受けました。

普段使用している生理用品については、ほぼ全員の95%がナプキン派であることが分かり、タンポンの使用は半分以下の36%、月経カップを使用している学生はいないという結果でした。

月経カップの使用については、約80%の学生が「あまり使いたくない」または「使いたくない」と回答し、認知度は少しずつ上がっているものの、いまだ月経カップについては聞いたことがある程度の理解度のため、さまざまな疑問や不安を持っている印象を受けました。

 

講義内容

事前調査の結果を踏まえて、本講義では、「生理とは」「生理とスポーツの関係」「アスリートにおすすめの新しい生理用品と、新しい生理ケアの方法」の3つのテーマに分けました。

第1章「生理とは」

  • 女性器の特徴と生理のメカニズムについて(女性ホルモン・月経周期・排卵・精子と卵子の数)
  • 生理中の心身の不調と対処法について(生理前症候群・生理前不快気分障害・生理痛)
  • さまざまな避妊法や生理中のセックスについて(経口避妊薬・コンドーム・妊娠率)

色をつけた水を使った経血量の比較。

日本産科婦人科学会では、正常の範囲を20ml(左)から140ml(右)と定義していて、非常に個人差があることがわかる。

避妊の種類と特徴

 

第2章「生理とスポーツの関係」

  • アスリートが抱える生理用品の問題について(漏れる・蒸れる・ズレる)
  • 生理用品の紹介(ナプキンやタンポンの特徴とそれぞれのメリット・デメリット)
  • 生理中の睡眠の質の低下について(睡眠がパフォーマンスに与える影響)
  • 生理周期を考慮した練習計画の必要性について(海外女子サッカーチームの例より)

タンポンの使い方の説明。

「タンポンの構造を知らなかった。」「アプリケータから本体が出てくるところを初めて見た」というコメントが寄せられた。

 

 

第3章「アスリートにおすすめの新しい生理用品と、新しい生理ケアの方法」

  • 第3の生理用品「月経カップ」とは(歴史・特徴・メリット)
  • ナプキンいらずの吸収型サニタリーショーツ「エヴァウェア」とは(特徴・メリット・吸収量の実験)
  • 従来のケア方法と新しいケア方法の違い(生理用品の交換回数の比較)
  • 生理用品をアップデートしたアスリートの声を紹介

 

講義を受けた学生たちの感想

講義終了後は、学生たちからフィードバックシートを提出してもらい、印象に残ったキーワードや、講義から学んだこと、感じたことなどについてひとりひとり共有してもらいました。

感想を一部紹介します。

【男子学生の感想】

  • 将来、パーソナルトレーナーやスポーツトレーナーになった際、いまよりも女性と関わる機会が増えると思うので、このような形で必要な知識を身につけられて良かったです。女性が生涯で7年間も経血を出していることにはとても驚きました。
  • これまで生理についてほとんど知らず、「辛いもの」くらいの認識しかありませんでした。生理日数や経血量、ナプキンの使う枚数などを初めて知り、生理の大変さが分かりました。また、生理のことは聞いてはいけないタブーなことだと思ってきましたが、恥ずかしいことでも隠すものでもなく、ちゃんと向き合って理解することが大事だと感じることができました。
  • 彼女はもういませんが、またいつかできて、彼女が生理で辛そうにしていたら何か気の利いたことをしてあげたいと思います。社会に出て、今よりも女性と接することが増えたとき、適度に体調を聞いてみたり、練習メニューを調整してみたりして様子を見ながら、なるべく選手に無理をさせないようにケアしていきたいです。また、男性指導者だと話しにくいこともあると思うので、こういう話を女性指導者とも話せるようにしたいです。
  • 女性アスリートは生理によるコンディション不良で実力が発揮できないことがあるのは大変だと思いました。ただ、その中でもベストコンディションにもっていって試合で戦っている女性はすごいとも思いました。将来選手を指導する際には、話を聞き、意見を共有しながら接していきたいです。
  • 自分が女性だったら絶対に耐えられないと思いました。今後スポーツ指導をするときは、生理を考慮した練習メニューの作成などもできるようになりたいです。
  • てっきり、生理は男子でいう「思春期」のようなものだと勘違いしていました。また、今までは自分に関係ないことと思い、知ろうとも思っていませんでしたが、就職して女性に指導するときには必要な知識だと感じました。これからもっと勉強したいです。

 

【女子学生の感想】

  • 今までは、生理中に、男性の先生や友達にバレないようにトイレに行く方法や、生理痛がひどくても周りにバレないように振る舞うことをずっと意識して過ごしてきました。しかし、今回の講義を通じて、今世界的に「生理は恥ずかしいものではない」という考えが広まっていることを知り、とても感動しました。
  • 経血量や生理痛など、個人差がとても大きいことが、生理の中で大きな障害になっていると思いました。私は女ですが、思った以上に生理の問題が深刻であることを改めて感じました。
  • 自分自身、毎月生理を体験しているのに、知らないことがたくさんありました。今までは「恥ずかしいもの」として捉えてきましたが、その感覚は違うと思いました。まだまだ知らないことがたくさんあるので、これをきっかけに勉強し、将来教えてあげられるようになりたいです。
  • 部活をやっていたころに悩んでいたナプキンの蒸れやかぶれなどの問題が、他の人でも共通した悩みであることを知り、少し安心しました。これからは使用する生理用品の幅を広げて、いろいろなケア方法に挑戦してみたいと思いました。
  • 将来指導者になったとき、生理について悩んでいる人がいたら積極的に相談に乗ってあげたり、講義で学んだことをシェアしていきたいと思いました。生理が来たときに指導者に言いやすい環境を作つことも大切だと感じました。
  • これまで、生理について深く考えたことがなく、辛かったり、生理用品が邪魔だと感じたりしても、ほかのものを知ろうとしていませんでした。今回初めて聞くことが多く、今後の参考になりました。
  • 女性として、改めて自分の体についてしっかり勉強ができたことがとてもうれしかったです。環境のためにも、経済的にも月経カップを使うのは良いことだと知りましたが、やはりまだ抵抗があります。ただ、とても興味を持ったのでチャレンジしたいと思っています。せっかく女性に生まれたのだから、生理と上手に付き合っていく必要があると感じました。

 

先生からいただいたコメント

今回の講義をアレンジをしてくださった、社会体育科の教務主任の先生(男性)にとっても、はじめて聞くことやあらためて知ることが多かったとのことです。以下は先生からいただいたコメントです。

ご説明いただいた生理周期のところは、高校のテストに出たような記憶もありましたが、やはり記憶が全然あやふやで、非常に良い勉強をさせていただきました。

計算すると女性は人生で約7年の間、血が出ているというのはとても衝撃的でした…。

また、カメラの前で、エヴァウェアの吸水実験をしていただいたことで、商品の構造がイメージがしやすかったです。

エヴァウェアの吸水量や、防水性に関しては、何か仕掛けのあるマジックなのではないかと、びっくりしました。

スポーツに寄りそった内容を実話、実例を交えてお話しいただいたので、女子学生は確実に、男子学生もほとんどが理解できたのではないかと思います。アンケートの分析からスライド作成、収録まで本当にありがとうございました。

 

日本初!学校内3箇所に月経カップのサンプルを設置

月経カップのサンプル

東京YMCA 体育科の女子トイレに設置された月経カップサンプル

本講義の実施に合わせて、3種類の月経カップ「エヴァカップ」「スーパージェニー」「ディーバカップ」のサンプルを、①体育科の女子トイレ、②更衣室、③保育科の建物内 の計3箇所に設置し、学生の方々が自由にカップを見て触れるスペースを作っていただきました。

学校内に月経カップサンプルを設置するのは日本初の試みです。

さっそくサンプルを見て触った学生からは、「思ったより大きくてビックリしたけど、講義で月経カップのメリットを聞いて、よいものだとわかったので、使ってみたいと思った。」というコメントが寄せられました。

ほかにも、講義の前は月経カップに対して不安や疑問を持っていた学生からも、「使い方を知って興味が湧いた。」「ぜひ試してみたい!」「まだ少し怖い気がするけど、体験してみたい。」「使い慣れたら多くのメリットが得られると思うので、もう少し自分で調べてから挑戦してみたい。」など、大変前向きな感想をもらいました。

 

 講義を終えての感想と今後について

今回、スポーツの指導者を目指す学生たちに向けて生理に関する講義することは、当社にとって初めての試みで、しかも、講義を事前に録画した動画を学生が視聴するというオンデマンド形式だったため、学生からどのような反応があるのか見えずドキドキしていましたが、講義後のフィードバックを拝見し、私たちが今回ぜひ伝えたいと思ったことをを想像以上に学生が素直に受け取ってくれていたことがわかり、ほっとしました。そして、今回学んだ新しい知識や発見を、将来のスポーツの現場や、プライベートにおいてパートナーとのよりよい関係構築に活かしたいというコメントが多く寄せられたことも非常にうれしく思いました。

月経カップについても、今回の講義を通じて、「怖い」「使いたくない」ものから、「試してみたい」ものに変えることができたのも、大きな成果だと感じました。

限られた時間ではありましたが、将来の指導者として発信力や影響力があり、これから活躍する若い世代の方々と情報を共有することができ、私たちにとっても刺激や学びの多い時間となりました。

日本ではまだまだ、スポーツ業界でアスリートと関わっている指導者の生理についての正しい知識が不足しているといわれています。

今後はこのような機会をさらに増やしていき、スポーツ業界・指導者全体に正しい情報を届けていくことで、インテグロのミッションである「女性の健康課題を解決する商品やサービスを提供し、人々が自分らしく活躍できる社会を作る」ことにつなげていきたいと思っています。

今回の講義に参加してくださった120名の学生のみなさま、ご清聴いただき本当にありがとうございました。