【月経カップ体験談】目指すは東京パラリンピックで金メダル!パラ水泳日本代表、石浦智美さん

先天性緑内障と無光彩症のため、将来的に目が見えなくなると言われた石浦さんが水泳を始めたのは、2歳のとき。当初は体力作りのためでしたが、障がいの有無関係なく平等になれる水の世界にだんだんとのめり込んでいきました。現在は2020年東京パラリンピックの金メダルを目指して日々練習に打ち込んでいます。月経カップとの出会いは2019年。初めて自分の経血量を知り、モレの不安がなくなったことで、受け身だった生理を自分でコントロールしている気分を味わい感動。障害があっても生理期間を少しでも快適にしたいと思っている人にトライしてほしいと思うようになったそうです。

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Her Lifestyle

水泳を始められたきっかけを教えてください。

私は、先天性緑内障と無光彩症という病気のため、生まれたときから視力が0.01くらいしかなくて、将来は見えなくなると言われてきました。水泳を始めたきっかけは、喘息持ちで体が弱かったことから、医師から勧められて2歳から水泳をはじめました。

障害があると、スポーツ競技によっては、できないこともたくさんあります。でも、特別な道具のいらない水泳では、障害があるなしに関係なく平等にできるスポーツだと感じて、どんどんのめり込んでいきました。

はじめて競技会に出場したのは小学4年生のとき。障害者水泳の指導をしていた方から、障害者の水泳大会があることを教えてもらったのがきっかけです。
その同じ年に、シドニーオリンピック・パラリンピックが開催されていて、日本の選手が世界で活躍するニュースを耳にしては、「私もいつかパラリンピックに出てみたいな。」と、ぼんやりながらも世界を意識しはじめました。

水泳での石浦さんの強みは何ですか?

パラ水泳の飛び込み
私の強みは、スタートの飛び込みから浮き上がりまでのドルフィンキック(潜水動作)です。私が専門としている短距離種目は、ここが勝負に大きく影響します。しかし、視覚障害のクラスではコースアウト(曲がって隣のコースに入ってしまう)や、ラインアウト(ルールの15mを越える)を恐れて、潜水をあまりしない選手が多いんです。なので、そこをあえてリスクを恐れずに攻めることで、他の選手と差を付けることを意識しています。競技ルールギリギリの15m付近まで潜水してから浮き上がり、前半からスピードに乗っていくのが私の得意なレース展開です!

 

目が見えないなかでギリギリを攻めるのは難しそうです。どんな練習をするのですか?

ドルフィンキックの練習では、目が見えない分、キックの回数と進んだ距離を何度も確認し、正しい感覚を身体に叩き込んでいます。その日の調子や、水着の違いによっても進む距離が変わってくるので、練習中でも試合用の水着を着用して確認するんですよ。

ただ、ドルフィンキックは元から得意だったという自覚はありません。おそらく、2016年から指導してもらっている2名のコーチが、ともにフィンスイミングの選手なので、自然と効率のよい力強いキックを打つことができるようになったのかなと思います。

 

パラ水泳の魅力や見どころを教えてください。

パラ水泳の世界選手権大会代表選考
パラ水泳だけではなく、パラ競技全体に言えることだと思うのですが、必ずしも若くて勢いのある選手が勝つわけではないのが魅力だと思います。水泳の潜水動作ひとつとっても、極めるには経験を積むことが重要になります。特に視覚障害クラスでは、体力以外に、細かい技術や身体感覚が求められるので、それらは場数を踏まないとなかなか得られないですよね。実際に、視覚障害クラスの日本代表選手は、私を含めてベテランばかりです(笑)。

また、パラ競技は、競技種目や障害のクラスによって独自のルールが定められているので、それぞれのルールを知っていると、観戦するときにより面白くなると思います。たとえば、私たちは公平性を保つために、本番では真っ黒で光を通さない特殊なゴーグルをつけて泳ぎます。

さらに、視覚障害クラスで欠かせないのが、泳いでいる選手にタッチやターンの合図を送る「タッピング」です。タッピングをする人を「タッパー」というのですが、彼らは先端に弾力性のある素材をつけた棒「タッピングバー」を使い、壁に近づいてきた選手の頭や額に、ポンっと先端を当てます。私たちはその合図でタッチやターンをするのですが、もちろんタイミングがズレれば壁にぶつかったり、逆に遠すぎて壁に手足が届かなかったりします。勝負を左右する重要なポジションです。タッパーはコーチが務めることが多いのですが、専属のタッパーを付けている選手もいるんですよ。ぜひ注目してみてください。

Her Period

水泳や日常生活での生理の困りごとについて教えてください。

練習中は基本的にタンポンを使用しているのですが、プールに入るとタンポン本体と紐が水を吸収するので、その感覚がとても不快です。また、タンポンも容量がオーバーすれば紐を伝って経血が垂れてくるので、100%安心できるわけではありません。さらに、目の見えない私たちにとっては、プールから上がったあと、水着のクロッチ部分から垂れてくるのが水なのか、経血なのかが分からないため、急いでトイレや更衣室に向かうこともしばしば・・・。

練習以外の場面では、生理用品の在庫管理が面倒なことです。さっとお店に買いに行くこと自体が難しいので、ストックを切らさないために、ナプキンがあと何枚…タンポンがあと何本…と、いつも在庫数を把握しておかなければいけないんです。 

 

月経カップはどのように知ったのでしょうか?

月経カップの存在は、フィンスイミング日本代表の山階選手のSNSで知りました。スマートフォンの読み上げ機能で、はじめてカップの説明を耳にしたときは、本体の形状や使い方、素材の感触などがまったく想像できず、「折りたたんで挿入?!腟内で開かせる?!どういうこと??」と、頭の中がかなり混乱しました(笑)。

私は普段ピルを使っているので、生理がきても通常より経血量が少なく、症状も軽いのですが、その生理期間さえもできるだけ快適に過ごしたいという気持ちがありました。カップは慣れれば快適とのことだったので、存在を知ったときは、怖さよりも、どんなものか知りたい!という興味の方が大きかったです。

ただ、やはり視覚に障害があっても使えるのかどうか不安だったので、山階さんに相談して、試す前にインテグロのカスタマーサポートに連絡して実物を触らせてもらいました。そこで、カップを実際に触って、大きさや肌触り、弾力、基本的な使い方を確認することができて、「これなら使えそう!」と思いました。使う前には自分の腟の状態を指で確認し、挿入位置や角度などのシミュレーションもしました。

 

月経カップを実際に使ってみていかがでしたか?

初回は緊張して浅く挿入してしまったせいか、少し違和感がありました。そのあと、思い切って挿入してみたら適切な位置に装着でき、それからは違和感も漏れもなく、快適に過ごせています。

練習中にも使ってみましたが、これまでタンポンで感じていた不快感や心配がなくなり、普段と同じように過ごすことができたのでよかったです。ただ、取り出すときにカップと腟壁の密着を解除するのがまだ難しいので、もう少しスムーズに取り出せる方法を研究してみようと思っています。

もうひとつ、カップを使ってよかったことは、カップに溜まった経血を指で確認することで、「自分の経血量がわかること」です。目が見えないと、ナプキンやタンポンでは、経血がどのくらい出たのかが確認できないので、交換のタイミングを逃して漏れてしまうことがありました。カップにしてからは、日によって変化する自分の経血量を初めて知ることができたので、漏れることがなくなり、生理をコントロールできている実感があります。

また、これまでは、普段使っているナプキンがお店にないと、店員さんに聞きながら商品を選ぶ必要がありました。カップはずっと繰り返し使えるので、毎月買い足す必要がなくなったのもうれしいです!

Her Message

生理について読者に伝えたいメッセージをお願いします。

生理期間を少しでも快適に過ごしたいという気持ちがあっても、月経カップのような新しい生理用品を使うとなると、勇気がいるし、抵抗もあると思います。私も最初は、視覚に障害があっても使えるのかどうか不安だったのですが、使ってみたら予想以上に大したことなかったです(笑)。

使い慣れるまでの期間には個人差があると思いますが、一度慣れてしまえば、これからずっと同じものを使い続られるという安心感が生まれます。これまでは生理に対して受け身でしたが、カップを使ってみたら自分の経血量を知ることができ、自分で生理をコントロールしている気分になれたのも大きな発見でした!

障害の有無に関わらず、生理期間を少しでも快適にしたいと思っている方は、ぜひ思い切ってトライしてほしいです。

Her Dream

今後の夢や目標を教えてください。

2020東京オリンピックのパラ水泳

現在は社会人スイマーとして仕事と競技を両立しながら、東京パラリンピックに出場して金メダルを取るために、日々トレーニングを積んでいます。

前回のリオデジャネイロ大会の選考会では、参加標準タイムにわずか0.3秒届かず、夢のパラリンピック出場は叶いませんでした。その悔しさを晴らすためにこれまで必死でがんばってきたので、今回は確実にタイムを突破し、出場するからには1番良い色のメダルを獲得したいと思っています。

応援よろしくお願いいたします!

 

プロフィール

パラ競泳選手 石浦智美(いしうらともみ)さん

新潟県出身。先天性緑内障と無光彩症のため、小さいときから視力が0.01くらいで、将来的に見えなくなると言われる。2歳から水泳を始め、筑波大学附属特別支援学校在学中に国際大会に出場。2018年アジアパラ競技大会100m自由形4位、50m自由形7位。2019年全盲クラス女子50m自由形にて日本記録を樹立。世界選手権代表の座を手にする。自由形以外にも背泳ぎやバタフライで国内大会優勝の実績を持つマルチスイマー。2020年東京パラリンピックの金メダル獲得を目指している。伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社所属。

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