月経カップをミルトンで消毒してもいいの?

月経カップを買おうかどうか悩んでいる人のなかには、「消毒が大変そう」というイメージが強いのではないでしょうか。

快適かつ手軽に消毒する方法があればいいな…と、思いますよね。

購入を考えている方やビギナーの方からよく質問されるのは、「市販の消毒液は使えますか?」という質問です。

ドイツ製月経カップを販売しているメルーナは、TPE素材のメルーナカップをお手入れするために、専用の「除菌用ミルトン」も販売しています。

以下の記事では、メルーナカップを清潔に保つ方法として、煮沸以外に除菌用ミルトンの使用方法も紹介されています。

月経カップ「メルーナ」のお手入れ方法

 

こうした記事を読まれた方から、「医療用シリコーン製の月経カップでも、除菌用ミルトンを消毒用に使っていいですか?」という質問や、「哺乳瓶消毒用の薬液を、月経カップ用に使用できますか?」という質問を受けることがあります。

今回はこの質問への答えと、その理由、そして正しい消毒の方法と頻度についてお伝えします。

関連記事:月経カップの素材の違いについて

シリコーン製の月経カップにはミルトンは使えません

エヴァカップスーパージェニーディーバカップなど、医療用シリコーン製の月経カップの消毒に、メルーナカップ用の「ミルトン」や、ミルトン以外の哺乳瓶消毒用の次亜塩素酸ナトリウムが主成分の薬液、錠剤等を使うことはできません。

実際に、ミルトンに医療用シリコーン製の月経カップを浸けておいたら、カップの表面が溶け出し、ベタベタするようになってしまったという事例もあります。

そのほかにも、以下のようなものは月経カップの洗浄には使用できません。

  • アルコール(エタノール)
  • オキシクリーン
  • 抗菌せっけん
  • 漂白剤
  • 重曹
  • クエン酸

特にナチュラルクリーニングに使われるようなものは、「体にも優しそう」、「消毒になりそう」と感じられるかもしれませんが、カップそのものや、腟粘膜への影響を否定できないため、使用はNGです。

ただし、1、2度使ってしまったからといって、即使用できなくなるほどのことはありません。

  • ひび割れ
  • ベタつき
  • 粉末状の膜の付着
  • 重度の変色
  • 異臭

などが顕著に現れた場合は、劣化のサインです。

こうしたサインが見られなければ、使用を継続しても問題ないと考えられますので、これからはこの記事に書いてあるケア方法を守って、正しく洗浄してくださいね。

 

なぜ、ミルトンが使えないの?

「ミルトンが使えない」と聞いて、不思議だな?と腑に落ちない方もいらっしゃるかもしれません。

哺乳瓶用の乳首も、月経カップも、シリコーン製。

どちらもシリコーン製なのに、哺乳瓶用の乳首がOKで、月経カップはダメなのはどうしてなのでしょう。

その理由は、哺乳瓶乳首と月経カップには、交換頻度や使用場所の体内環境に大きな違いがあるからなのです。

 

交換頻度の違い

哺乳瓶用乳首は、赤ちゃんの吸引力の強さや歯の生えた時期にもよりますが、赤ちゃんが噛んだり、吸引したりすることによって、切れ込みから損傷が起こりがちです。

そのため、日本で販売されている哺乳瓶用乳首メーカー各社のHPによると、哺乳瓶用乳首は消耗品として、1〜2ヶ月に1度、交換するものとされています。

筆者が哺乳瓶用乳首メーカーに問い合わせたところ、その交換頻度の高さから、薬液による劣化を心配する必要はほぼないとの返答を得ました。

一方、月経カップは正しく扱えば、数年~約10年間の使用が可能なものです。折りたたんで使うだけなので、正しく使用すれば、外部から傷はつきません。

せっかく長期間使用できるものなのに、薬剤を使う消毒を繰り返すことにより、シリコーンにダメージが与えられ、劣化のスピードを速めてしまう恐れがあります。

 

口腔内と腟のpHの違い

健康な口腔内の唾液のpHは、6.8~7.0の中性とされます。

一方、腟内の分泌液のpHは3.5~4.5の弱酸性を保っています。

ミルトン等、哺乳瓶消毒用の薬剤に使われている次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性です。

ミルトンのHPにある情報によると、次亜塩素酸ナトリウムは、ミルクに含まれるたんぱく質などと反応すると、ごく少量の食塩に変化します。

そのため、哺乳瓶用乳首に薬液が残ったとしても問題はないとされています。

一方、月経カップの洗浄に用いられた薬剤がカップ内に残ってしまった場合、本来、弱酸性である腟内のpHバランスが乱れたり、粘膜への刺激を起こすことがあります。

たとえば、ボディーソープや日焼け止めなどは「敏感肌なので、ベビーソープを使えば安心!」「赤ちゃん用なら大丈夫だろう」などと考えることもあるかもしれません。

しかし、哺乳瓶用乳首と月経カップは、「約1~2ヶ月で交換するもの」と「数年間使うもの」、そして「口に入れるもの」と「腟に入れるもの」という違いがあるのです。

月経カップに関しては、「赤ちゃん用哺乳瓶乳首がOKなのだから」と安易に考えないようにしましょう。

 

月経カップの正しい洗い方と消毒方法

長く快適に月経カップを使うためには、正しい方法でケアすることが重要です。

それでは、どのような方法で消毒したらいいでしょうか?

月経カップのケアの方法は、生理期間中と生理期間終了後のふたつのケアがあります。

 

生理期間中

  • 取り出しのたびに水洗いします。
    水が使えない場合はティッシュペーパーで軽くぬぐうだけでもOKです。
    なお、外出先などで水が使えない場合は、アルコール不使用のウェットティッシュや清浄綿が望ましいです。

  • 1日1回、低刺激・無香料の石けんで洗浄してください。
    普段使っているハンドソープやボディーソープを使うこともできますが、オイルフリー、アルコールフリー、合成香料が含まれない石けんで洗うのが望ましいです。
    もし、どれを使ったらいいか不明な場合は、月経カップ「ディーバカップ」用の洗浄剤「ディーバウォッシュ」がおすすめです。
    ディーバウッォッシュは医療用シリコーン製の月経カップのために作られた洗浄剤のため、エヴァカップ、スーパージェニーなど、同じく医療用シリコーン製の他ブランドのカップの洗浄にもピッタリです。
    ディーバウォッシュはデリケートゾーンのpHに合わせた弱酸性なので、デリケートゾーン用のボディーソープとして使うこともできます。

 

関連記事:月経カップのお手入れは面倒? いいえ、簡単です!

 

生理期間終了後

水洗いまたは低刺激・無香料の石けんで洗浄した後、煮沸消毒します。

月経カップの煮沸消毒の方法

 

煮沸消毒は、以下の手順で行います。

  1. 鍋を用意します。
  2. 鍋を火にかけ沸騰したらカップを入れます。
  3. 10分後、火を止めてカップを取り出します。
  4. 水で軽くゆすいで水気を取ります。
  5. 乾燥させ、保管します。

 

煮沸の頻度はどれくらい?

月経カップの煮沸消毒

 

まず、購入した月経カップが手元に届いたら、必ず煮沸を行ってください。

その後は、毎月の生理のたびに、煮沸消毒をする必要はありませんが、できれば2~3ヶ月に1回煮沸しておくと、ニオイや色素も付着しにくく、快適に使用できると思います。

もちろん、毎月煮沸するのが、カップのコンディションを保つためにもベストです。

筆者はカップを使い始めて2年半経ちますが、毎月煮沸しているので、カップにはニオイも色の沈着もないですし、購入時とほぼ変わらないきれいな状態を保っています。

月経カップは正しい方法で使えば、数年間〜約10年間使えるアイテムです。

ぜひ面倒くさがらず、生理が終わったら、きちんと煮沸して乾燥させるクセをつけるといいですね。

 

まとめ

医療用シリコーン製の月経カップの消毒にミルトンを使うと、カップの劣化を早めることになります。

お気に入りの靴やバッグ、大好きな器や家具などを長く使うためには、日々の丁寧なお手入れとメンテナンスが重要ですよね。

月経カップも全く同じです。

日々の丁寧なお手入れが、カップをよい状態で長持ちさせることにつながります。

そうは言っても、特に忙しいときの煮沸消毒は、少し面倒に感じることもありますよね。

そんなときは、電子レンジで煮沸することもできますよ。

電子レンジで、100均で売っている即席ラーメンを作る容器を使えば、フタもついているので、消毒から保管までひとつの容器で行えるのでおすすめです。

「お料理に使う鍋や容器をカップに使いたくない」という方は、カップ専用のホーロー容器やマグカップを用意したり、100均の調理グッズやなどのアイテムで、消毒を楽しく行っているユーザーの方もいます。

ぜひ、自分なりの煮沸のやり方を見つけてみてくださいね!

 

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